こんにちは、ルイです!
昨日更新した記事では2020年2月22日に開催した動画編集勉強会の概要について書いていきましたが、今日は前編ということで、勉強会の前半部分でシェア・回答した動画編集をするうえでの技術的な悩み・相談について触れていこうと思います。
なお、事前に言及しておきたいのですが、この記事では
「ピンポイントで特定の誰がどのような発言をしたか」
という部分までは伏せさせていただき、解釈のプロセスや結論においては僕の私見が含まれていることを踏まえた上でお読みいただければ幸いです。
目次
Adobe製品の連携について
今回の会にお集まりいただいたおそらく全ての人がプレミアプロを編集ソフトとして利用しており、さらに大部分の人がAdobeの全製品を使うことができるAdobeクリエイティブクラウドと言うサブスクリプションを契約していました。
Adobe製品はそれぞれの互換性がとても高く、僕も以前Adobe製品をある程度扱えるようになることでクリエイターとしての市場価値が上がると言う旨の記事を書いたほどです。
Adobeを制すものはノマドを制す!?【ソフト独学のススメ】プレミアを使う以上、使用することができる他のソフトも有効に活用していきたいと言うことでAdobe製品同士のソフト間連携をどのように使っているかが気になるといった質問が割と多く上がりました。
After Effects
代表的なのがAeですね。
同じ「動くものを作る」という観点から親和性もとても高く、プレミアで作成した動画を部分的にAeに流し込むことによって更なるクオリティアップが見込め、見栄えを格段に良くすることもできます。
それではAe関連で実際に質問があった内容について触れていきましょう。
連携の方法
プレミア上のAeで加工したいクリップを右クリック→「After Effects コンポジションに置き換え」でAeが立ち上がるので、Ae上で編集。
デフォルトで内蔵のプリセットは使えるの?
使えないことはないが自分で作った方がより良いとしたものに近づける編集をすることができる。
海外サイトではよくプリセットの販売や配布が行われているが利用規約や使用する上での著作権の表記がややこしいことが多く、最悪の場合訴訟にまで発展するケースがあるので注意が必要。
その辺を踏まえると Adobe のモーションエレメンツは著作権に関して非常に寛容で分かりやすいのでおすすめ。
効率の良い勉強方法
とにかくチュートリアルを見漁る。
自分が作りたい成果物から逆算し、必要なテクニックを学び、転用。
現時点では有料の講座を受講することが一番の近道かも?有益な講座でも1000円とお手頃な価格から取り組むことができる。
Photoshop
Photoshop は最近テロップの入力でも活用されてきていて、写真の加工やデザインを組むだけでなく、動画内におけるテーマやタイトルを綺麗に作ったりと、使い方によってはとても汎用性の高いソフトとなり得ます。
指示書を作るより Photoshop で雛形を作ったほうが早い
実際に指示書や仕様書を作って「この部分をああいう風にしてください」とするより、汎用性の高いテンプレートをディレクションする側が作り、作業をする人に渡すことで解釈の齟齬を防ぎ、プロジェクトを効率的に回すことができる。
連携の方法
作成したpsdファイルをプレミアのシーケンス上に直接的に配置することによって、作成した psd をプレミアデータ上に反映することができる。
Audition
倍速編集&ピッチ加工
動画の速度や音声のピッチを変更する時に使用することで音質の著しい劣化を防ぐことができる。
逆にプレミア上でクリップの右クリック→「速度・デュレーション」でピッチを維持したまま速度を変えようとすると下の音声ファイルは大きく破損してしまう。
Aeがなかなか成長しない時は
プレミアの学習をした通り終えた後はAeに進んで表現の幅を増やそうとする編集者の方が多くいますが、その勉強方法について悩みを抱えている人も多い様子。
チュートリアルを見る
国内外を問わず様々なクリエイターが多くのチュートリアルを発信しているので、YouTube上で自分が学びたい分野で検索をかけ、引き出しを増やす感覚でチュートリアルをたくさん見ていく。
成果物に転用
そしてある程度引き出しの数が構築できたら、自分が作りたい成果物から逆算して必要な技術を作品に落とし込んでいく。
【重要】目標は何か?
はっきり言って
「効率の良い勉強の仕方」というものは “何が作りたいのか” が定まっていないと的確に回答できない
ので、まずは自分がどういう成果物を作りたいのかと言う目的物の解像度を上げる必要がある。
女性的センスがない場合の対処法
男性の動画編集者でも女性向けの商材や広告案件を扱う事は往々にしてあるかと思いますが、そういう時の女性的センスのニーズへの対応の仕方についてシェアしました。
選択肢1:女性的センスを磨く
- 雑誌を見る
- 女性向け商材を見る
- トレンドにアンテナを貼る
選択肢2:女性編集者に外注する
つまるところ自分に持っていないものを補うために時間をかけるくらいならば、
自分の得意なものは伸ばしつつ、足りないものは持っている人に補ってもらうという選択肢も有効。
クラウドソーシングの利用もハードルが下がっているので外注化を視野に入れて誰かに仕事を振ると言う方法も大いにアリ。
成果物の納品方法について
出来上がった成果物をどのような手法で納品するかという点も編集者によって様々な方法があるようです。
YouTube限定公開リンク
オーソドックスな手法。大きなメリットは、チェック側はダウンロードの必要がなく、出先でも確認できる。
見れるようになるまでの処理に少し時間がかかるのが難点。
自身のYouTubeチャンネルにアップロード
↓
リンクを取得
↓
公開設定を「限定公開」に設定
↓
リンクをクライアントに送付
YouTubeアカウントの共有
中にはクライアントのアカウントを共有してアップロードまで担当するという編集者も。任せる方は工数が減って楽な分、ある程度の信頼関係を構築した後でないとここまではたどり着くのは少し難しい。
Googleドライブ
Google のアカウント自体は比較的簡単にいくらでも作れるので、共有用のアカウントを作成。
クライアントごとにフォルダを分けるなどし、ドラッグアンドドロップでアップロードをした後は、右クリックで共有リンクを取得し、クライアントに送付する。
体感だが YouTube にアップロードする際の処理よりも若干早い印象。もう一つのメリットとして、チェックが通ったらクライアントはそのままそのリンクから動画をダウンロードすることができるという利点がある。
ギガファイル便
あまり知られていないがブラウザ上でデータを確認することは可能。
ただパソコンでの使用がメインとなるため素材のやり取りではこのギガファイル便を使うことはを多くあっても、成果物をクライアントに確認してもらう際には相手に少し手間を取らせてしまうことが多いのであまり向かない。
作業効率化について
動画編集をする上で法律を考えずにそのまま進めていくと、膨大な時間がかかってしまいます。
簡単な動画ですら、
- カット
- テロップ入れ
- 素材の挿入
- BGM・ SEの挿入
という工程があるため、それぞれの作業で最適化を狙っていかないと時間を浪費してしまいかねません。
編集者同士で “効率化” をテーマに話し合ってみたらたくさんのテクニックやアイデアが出てきて面白かったです。
テロップ入れ(文字起こし)
ブリュー(Vrew)を使って文字入れ
Vrewという、AIが動画を解析して文字起こしをして(しかもリアルタイムじゃない)、PremiereやFinal Cut、Davinciにも対応した形式でデータにしてくれるという神サービスがあるのですが、こちらを利用している方がちらほら。
参加者でもある和也さんが使い方のチュートリアルを作成されていたので、こちらで共有させていただきます。
エッセンシャルグラフィックスの方が簡素になる分、効率的?
「効率」を重視するのであればエッセンシャルグラフィックスを使用するという意見に軍配が上がる。
レガシータイトルの方がリッチなテイストのテロップを作ることはできるものの、テロップの数だけ複製をしなければならず、その分クリップもどんどん増殖していくので、適当な長さにカットしたクリップをダブルクリックしてそのまま文字を打ち込めるのは大きな利点。
外注化
先述したVrewでも精度で言うと7〜8割程度なので、最初から正確な文字起こしが欲しいと言う人はテロップの文字起こしだけ外注化してしまうというのも選択肢としてはアリ。
クラウドソーシングでかなり安く発注できる上、海外在住者など低単価でも現地の価格感に置き換えるとコスパの良い仕事として求めている人も多くいるので発注先が見つからずに困ることはなさそう。
ゲーミングマウスを使用
数々のショートカットコマンドを埋め込むことができるゲーミングマウスにショートカットを当て込み、右手だけで様々な操作が可能になる。
これだけで時短になる、というよりかは左手をキーボードの左側、右手はこのゲーミングマウスと組み合わせることで効率UP。
話題として上がったのはロジクールのG502WL、僕も個人的に使用しているので気になる方は以前書いたレビューを参考にしてみてください。
G502WLを動画編集で使い倒してみた【ステアーマウスで超有効活用】ショートカットキー
Windowsの場合、半角状態でないと登録したショートカットキーを使用できないが、ファンクションキーにショートカットを割り当てることで全角か否かの影響を受けない。
基本的な操作、例えば
- 編集点の追加
- 編集点より前 / 後までのリップル削除
- シーケンスの拡大 / 縮小
- 再生ヘッドの移動(好みのフレーム数)
を、左手の稼働範囲に登録するだけで効率はかなり上がる。
書き出しの効率化
メディアエンコーダーの使用
Adobe製品のひとつ。インストール完了後すぐに使用可能。
ものすごく簡単に言うと書き出し専用のソフト。
例えばプレミアから普通に動画を書き出そうとすると、書き出し中はプレミアを触れなくなるが、「書き出し」ボタンの隣にある「キュー」というボタンを押すことでメディアエンコーダーが立ち上がり、画面右上、緑色の三角の再生ボタンのようなものを押すと随時書き出してくれる。
クリップのエフェクターがかかっている部分だけちょん切る(編集点を追加)
エフェクトの適用範囲を最小限に抑えるとPCへの負担も減る上に書き出しに必要な処理も最低限になるため、結果的に書き出し時間が早くなる。
方法としてはクリップに適用されているエフェクトの部分のみに「編集点を追加」つまりカット。
例えば右からスライドインしてくるテロップの場合は動き終わった地点でそのエフェクトを挿している必要性はなくなるので、動きが止まったところでカットを入れておき、エフェクトの適用範囲を最小限にする。
まとめ
日頃一人で編集していては決して気付くことのできない観点や発想をシェアすることができ、目から鱗の連続でした…。
参加してくださった方々のスキルもかなり幅が広く、知見に富んでいて、新しい発見が多くありました。
この記事を読んで何か少しでも参考になる方がいれば嬉しい限りですし、実際の勉強会ではもっとリアルで有益な情報やノウハウが数多く飛び交っています。
是非2回目以降の参加を検討してみてください!