ルイ
映像と音というのは切っても切れない関係にありますが、しっかりしたイヤホンを使わないときちんとしたモニタリングができないので注意が必要です。
特にイヤホンやヘッドホンに関しては値段もクオリティもピンキリなので
「多すぎてどれを買ったらいいかわからない・・・」
という人も多いかと思います。
そこで今回は、サウンドエンジニアでもある僕が、イヤホン選定のお手伝いをするべく、個人的に持っておいた方がいい4つのタイプのイヤホンとヘッドホンを紹介していきたいと思います。
目次
「いい音」の定義とは?
まず最初に
「音がいいとか悪いとかってよく言うけど、何が基準なの?」
という定義づけから始めていきたいと思います。
これは結論から先に言うと二つの要素が関係してきます。
- 原音の再現性
- 個人の好み
それぞれ細かく見ていきましょう。
原音の再現性
まずコアな話から。
音量の世界では「いい音」というのは ”いかに原音を忠実に再現できるか” という基準で決められます。
どういうことかというと、日頃から僕たちが耳にしている音楽というのは、
- どこかのスタジオで録音され(レコーディング)
- それがエンジニアの手によって綺麗な状態にされ(ミキシング)
- 最後に世に出ている人間と同じように音圧を出せる限りまでで大きくして(マスタリング)
- そしてリリースされます
要するに色々な加工がなされた最後の状態の音を聞いているということになります。
良い悪いの話ではなくライブやコンサートに行って音楽を楽しむ際、 CD の音とは全く違いますよね。
アンプやドラムセットの設定をいくらレコーディングした時と同じ状態にしても、全く同じ音というのは現実世界で出すことはできません。
録音された時の環境を忠実に再現できるのが「いい音」の指標の一つというふうに考えられるのが一般的です。
個人の好み
これはもう単純に個人の好き嫌いになります。
低音が出ている方がいい、高音は控えめがいい、ミドルはほどよく抜かれている方がいい・・・。
イヤホンやヘッドホンはメーカーによってその特色が異なります。
かの有名な高級ブランド BOSE も「それっぽいクセ」がやはりあります。
どんなに高価といわれていても、再現性が高くても好きになれなければアウトです。
反面、再現性の高さというのは一つの判断基準になるのでここを捨てるわけにもいきません。
ミックスの順番はイヤホンorフォンホン→スピーカー
次に動画や映像の中でミックスをする際の各デバイスの使い方の順番についてです。
結論から言うと、最初は必ずモニタリングしやすい密閉型イヤホン・ヘッドホンを使い、ある程度形が整ったらスピーカーに切り替えて客観的にモニタリングするよう心がけてみましょう。
いきなりスピーカーを使うのは NG です。
なぜなら、どうしてもスピーカーから耳までの距離が空いてしまうので、その距離の間(音は空気の振動なので)で聞こえ方がだいぶ変わってきてしまいます。
音量についても、防音室&高価なスピーカーという環境でない限りモニタリングは正しくできないので、作業場にこういう環境が整ってない場合はイヤホンやヘッドホンを推奨します。
オススメのイヤホン・ヘッドフォン
それではここから、おすすめのイヤホンやヘッドホンを紹介していきたいと思います。
MDR-CD900ST
これは厳密にはスタジオモニターヘッドホンと呼ばれる種類のもので、簡単に言うとプロユースです。
音響の現場や映像に携わる人で持っていない人は逆にほぼ見かけないくらい普及率が高い、超有名ヘッドフォンです。
実際使ってみると分かるのですが、音の再現度がとにかく高い!
ただし、密閉度はあまり高くないので音漏れもしやすく、某有名メーカーのように低音がブリブリ出ているわけではないので、クラブミュージックを爆音で楽しみたいという人にはあまり向かないかもしれません。
SONY WH-1000XM3
その使用率の高さから品質は担保されていますが、改めてソニー製オーディオデバイスの計算された緻密な設計というのは感服します。
このワイヤレスヘッドホンはノイズキャンセリングの質が高く、独特の圧迫感を感じないまま周囲の音を綺麗に消し去ってくれます。
また派手すぎないイコライジングでモニタリングの邪魔をすることもないですし、音量の上げ下げや停止・再生も表面を指でなぞるだけで行えてしまいます。超便利。
また有線ケーブルの取り付けも可能なので、遅延を警戒する時には有線で対応といったことも出来るようになります。
難点としては少し重め、密閉度の高いヘッドフォンなので夏は蒸し暑くななりがち。逆に冬には耳あて代わりになって大変重宝します。
AirPods Pro
カナル型ワイヤレスイヤホン、ノイズキャンセリング機能付きです。
現状、世に出ているノイズキャンセリング機能付きワイヤレスイヤホンの中では最高レベルの品質なのではないでしょうか。
他メーカーの追従を許さないほど軽量に、そして耳に馴染むように設計された駆体、ケースのサイズも充電の持ちも申し分なし。
個人的に一番懸念していた映像の編集の際の遅延に関してですが、これは驚くほどありません。
※ちなみにPC動作環境は2019年に発売された MacBook Pro 16インチです
難点としては、あくまでカナル型イヤホンになるので長時間での使用は耳が疲れやすいという点です。
BOSE SoundSport in-ear
こちらも優秀で有名なインイヤー型の有線イヤホン。
独特な形状のでっぱりが耳にフィットし、簡単な運動をした程度では取れないくらいの安定性を誇ります。
このタイプのイヤホンはカナル型と違い耳が疲れることもなく、圧迫感に疲れた時に切り替えるのにちょうどいいです。
また、有線なので遅延の心配もいりません。
同じタイプの物でノイズキャンセリング機能搭載しているものもあるのですが、バッテリー充電が必要なのでそのための機械部分がついてくるのが鬱陶しく、僕は使用していません。
ノイズキャンセリング機能を搭載したデバイスは他で準備すればいいので、各々の役割を考えるとここには必要ないのかなというのが個人的な意見です。
まとめ
音楽家はもとより、映像系の仕事をするのであれば欠かすことのできないイヤホンやヘッドフォン。
値段は決して安いものではありませんが、一つ二つは良いものを必ず揃えておきましょう。
世に出ている動画を見ていると BGM や SE との音量バランスが全く整っていないものも多く見受けられます。
細部へのこだわりを欠くと一気に安っぽさが出てしまうので、使用する機器についてはしっかりといいものを揃えましょう。
それでは。