英語が話せるようになると転職に有利なのかを留学経験を通して考えてみた【言語はただの触媒です】

英語学習のモチベーションはありますか?

「年収をアップさせたい」
「違う業種にチャレンジしたい」

人によって取り組む動機は様々かと思います。
しかし「他言語を習得するとそれだけで転職に有利になるか」と問われれば、完全にそうだとは言い切れない部分があります。

今日は僕自身が留学を終えて英語を身につけた後に感じたことを書いていこうと思います。

結論:英語のみでは仕事にならない

先に一番重要な結論を述べておきます。

言語だけでは仕事になりません。

どういうことか詳しく書いていきます。

言語を使った仕事で一番最初に何が思い浮かびますか?

通訳、翻訳を筆頭に、貿易関係の仕事も他言語を使用する機会が多い職種でしょう。
しかし、これらはちょっとやそっと勉強したところで、どうにかなるレベルではありません。

旅行関係の通訳だったら日常会話と歴史的な用語を覚えれば形にはなるでしょう。
ですが通訳の多くは専門的でより網羅的な語彙力、そのフィールドでの経験を求められます。

中でも医療界は特に想像しやすい領域ではないでしょうか。

医療用語だけでも膨大な数があるというのに、通訳する現場や取引によっては人命にすら影響を与えかねません。

貿易のビジネスであればひとつのミスで組織に大きな損害を発生させてしまうリスクもあります。
それほど重要度の高いポジションを、多少の留学経験がある人間に任せる、というのはあまりにも危険です。

特定のスキル + 英語力 = 結果

ではどういう状況下で英語が評価されるのでしょうか。

それは

”すでに持ち得るスキルに英語が加わったことによる他者との差別化”

という付加価値が発生するタイミングです。

例えば抜群のセールススキルを持つ営業マンが英語を喋ることができたら?
営業の技術というのは”いかにして信用を勝ち得るか”という点が結果に最も大きく関係するので、言語的な制約を受けにくく、他言語が話せることで”プラスアルファの付加価値”が作用します。

東南アジアの海外旅行や出張で、やたらとセールスの上手い客引きや、露店のオーナーがいます。
彼らの営業力がその巧みな話術から来ているかといえば、そんなことはないはずです。
なぜなら僕と彼のどちらもが英語を第二言語として話しているからです。

セールスのスキルと諸外国に行っても問題ないレベルの英語力とが組み合わされば、単純に獲得できる案件の規模が倍増し、アクセスできるマーケットは巨大なものになります。

門を開く役割を持つのが”言語”

もうひとつ例を挙げましょう。

ITの技術が発達し続けている影響もあり、世界的にITエンジニアの需要は依然高いままです。

その勢いはAIが完全に代替できるようになるまで伸び続けるでしょう。
もっと言えば、AIが発達した後も、エンジニアが職を失うかといえば、おそらくそんなことはなく、AIを管理・運用する人間も必要ですし、新しい技術に付随し新たな人材も必要になるはずです。

日本でのエンジニアの給与が世界的にどのレベルかと言うと、これは低くて有名です。
需要と技術に対して報酬が見合っていないのです。

そこに至るまでにいろいろな要因が考えられますが、重要なポイントは

”日本国内でのみ考えた場合”

ということ。

諸外国の方が給与が良いのであれば、なぜそこで仕事をしないのか?
言うまでもなく言語が参入障壁を高くしているからです。

さらに、ほとんど全てのコンピューター言語は英語をベースにして設計されています。
逆に言えばITほど”英語が話せたらハードルが一気に下がる”業界は他にないでしょう。

英語を習得することでそのマーケットにアクセスできる鍵が手に入るのです。

市場が求めているもの

これは僕の実際の知人でもなければ、事実確認もできていないので、信憑性に欠ける部分があることを先にことわって話していきたいのが、カナダにエンジニアとして転職・移住した人の話です。

カナダにワーキングホリデーをする前に現地のことについていろいろ調べていたのですが、日本のエンジニア職の給与の低さに辟易し、カナダで職を得るまでを書き綴った人のブログを発見したのです。

その人はこう言っていました。

英語のレベルは平均的な日本人。旅行の時や簡単な日常会話、自己紹介などは問題ない。
面接で聞かれることやITの用語を頭に詰め込んで対策し(もっとも、多くのIT用語はすでに英語なので改めて覚え直す必要はほとんどないのだけれど)、あとは実際にコードを書いて、技術力が認められ、内定を得た。

英語力は職場での円滑なコミュニケーションで”あればいい”のは確かだが、必須ではない
なぜなら高い英語力が求められるミーティングやクライアントとの交渉はなく、チャットで完結するから。

エンジニアなら、最低限の語学力があり、あとは市場が求めている技術さえ持っていれば、仕事に困るどころか、日本よりも良い給料をもらえるチャンスがごろごろしている。

自分の活躍できるフィールドを、言葉の壁で失ってしまうのがどれだけ大きな機会損失であるか、このような人を見ていて実感します。

フリーランスは語学力との親和性も高い

「でも、給料の良い国へ映ったところで、物価が高かったら、結局生活水準は同じくらいになるんじゃないの?」

行く国によってはその通りでしょう。

ですが、リモートワークができる会社や、個人事業主、つまりフリーランスとして仕事を得るならどうでしょう?

スキルさえあれば必要なものはネット環境とパソコン一台です。
こちらも膨大な情報網にアクセスできる言語力があれば、日本よりも遥かに広い視野で自分を売り込むことができます。

さらに、上記したように場所の制限なく働けるのなら、例えば5万円あれば全てが事足りるような東南アジアの国などに住みながら、高い給与を受け取って生活する、といったことが「かなり現実的なレベル」で実現できます。貯金も容易になるはずです。

まとめ:言語はただの触媒に過ぎない

語学力は、本当に突き詰めて、ポイントを絞って極めないと、

それだけでお金を稼ぐのは難しいです。

これは実はとても簡単な理屈で”英語圏に行けば英語が話せることは当たり前”だからです。

では英語圏でどうやって自分を売り込むかと言えば”日本語が話せること、または日本人であること”に付加価値(たとえばそのビジネスに日本のローカルな知識や素養が必要、等)が発生する場合のみです。
控えめに言っても、その市場は小さいと言えるでしょう。

言語というのは、他の要素と掛け合わせることで初めてその進化を発揮し、相乗効果を生み出します。

ただし僕が言っておきたいのは、この記事を書いた目的が
「だから留学に行く前によく考えた方がいい」
ということを伝えるものではない、ということ。

見慣れぬ地での経験はそれだけで価値になります。
加えて、最初から目的を持って英語を勉強したり、留学を決意する人はごく少数です。または、途中で設定した目標が変わるなんていうことも往々にして起きます。

英語を学ぶのに目標を設定しろと多くの人が言っています。
確かにあった方がないよりいいですが、なければ留学に行ってはいけない訳じゃないですよね。

悩むくらいなら、その時間が勿体無いです。

思い切って飛び出してしまいましょう。

時間は戻せません。お金なら、後から稼げます。

本当に必要なものは、ひとつのものに集中して時間を投資しながらも、周りや時代の流れをよく観察して、アンテナを全面に張って生活することです。

もしも学習中や、新しい経験をすることによって、そのアンテナに何かが引っ掛かったのなら、あとはこっちのもの。
一点突破で突き進めば、必ず結果は付いてきます。

現在悶々とした日々を送っている人に何か届いたなら、とても嬉しいです。
僕自身、もっといろいろなところに種を植えながら、残り少ない台湾・台北での生活を満喫しようと思います。

それでは!