【作業用BGM】収集方法と音楽感についての話【Apple Music / 雑記#13】

「音楽サブスクリプション」

今でさえ当たり前になったこの言葉、ストリーミングというサービス。

当たり前のようにこの恩恵を享受して、毎日使っている人も多いはず。

 Apple Music、Spotify、Prime Music…

様々なサービスがあるが、いずれにせよ、ストリーミングサービスの存在はその前後で大きく変わった。

厳密に言うと人々の音楽に対する価値観が、ストリーミングの誕生する前後で変わったように感じる。

これは自分がいちリスナーであると共に、曲を作って世に出すアーティストとしての立場からの観点でもある。

僕の音楽の扱い方も当然変わった。

会社員時代も、フリーランスクリエイターとして生活を送る現在でも、音楽の捉え方や感じ方は今でも変わらない。

僕にとってはとても大切なもので、生活からは切っても切り離せない存在だ。

今日は個人的な音楽の価値観を変えたきっかけ、収集方法、仕事の邪魔をしないBGMやいわゆる「ディグ」りの方法に触れていこうと思う。

使用ストリーミングサービスApple Musicを使い始めたきっかけ

僕がストリーミングサービスを利用し始めたのは遅くて、2017年のカナダ在住時のこと。

信じられない話かもしれないが、2010年代後半にまでなっても、僕は「音楽は CD で買いたい」というスタイルを突き通していた。

もちろん CD でしか音楽を聞かないというわけではなかったが、自分が好きな曲は敬意を払うという意味でも対価である金銭を払い、曲を聴きながら購入した CD のジャケットを眺めたり、歌詞カードを読んだり、クレジットを見てどんな環境で録音されたのか、どんな人間が関わっていて、どんなミュージシャンと交流があって・・・。

そういうことを見ながら音楽を楽しむことが好きだった。

だから言葉は悪いけど「定額で音楽が聴き放題」という姿勢には今思うと少し侮蔑の感情があったし、抵抗があった。

その状況を変えるきっかけになったのが、留学生活だ。

最初に訪れたフィリピンではCDショップなどないし、留学中にCDなんかいちいち買っていたら荷物になって仕方ない。

かといって現地で購入して帰国の際に捨てるというのは手間だし、とは言え好きなアーティストの新譜を聞けない生活が半年以上続くなんて辛すぎる。

結局フィリピンで英語留学をしている間はYouTubeを利用してしのいだが、次に訪れたカナダでは

「まぁ、使ってないのにあれこれ言うのはちょっとあれかな・・・無料期間もあるみたいだし、とりあえず使ってみよう」

という経緯で使うようになってからというもの、もう手放せないほどの中毒になってしまった。

Apple Musicが変えた音楽感

ストリーミングサービスとは、その言葉通り、濁流のようなデータの渦から、 自分の欲しいものだけ抽出して楽しむことができる、というものだ。

なんとなく「セコい」という考えを持っていた僕だけど、使ってみてこの大きな恩恵に驚いた。

音楽を「受け身」で知るということ

Apple Music を使って音楽を聴いていると、縦横無尽に広がる音楽の海で、世界中の本当に様々な音楽との出会いがある。

インターネットを介したストリーミングというサービスなのだから冷静に考えれば当たり前のことなんだけど、それまではCDショップで音楽を手に入れていた僕にはなんというか、革命的な出会いだった。

「Radio」のボタンをクリックしてみれば、リアルタイムで放送されているトップアーティストがパーソナリティーを務める文字通り最先端の音楽をいつでも聴くことができるし、 膨大な量の過去のアーカイブにもいつでもアクセスすることができる。

思えば僕はな長らく「音楽は自分で見つけるもの」というスタンスで、垂れ流しにされているところに自分の身を置くというようなことはこれまでなかった。

※たぶんこれが原因で「未知との遭遇」の連続であるライブハウスという場所が好きだったのだと思う

音楽の価値と対価への考え方について

考えてみれば「音楽を作ったアーティストに対してCDを買うことが音楽を楽しむことへの返し方だ」という考えは直接的だが、短絡的でもある。

そもそも定額で音楽を楽しむことが音楽への冒涜になんかもちろんならないし、そういうサービスがあるということはアーティストへの報酬などももちろん成立しているということで。

生粋のバンドマンでものづくりに対してはかなり頑固というか、「偏った」と言ってもいい価値観を持っていた自分にはすんなり入ってこなかったものの、ようやく僕はいわゆる、世界中で大多数の人が取り入れている方法で音楽を聴くようになった。 

プレイリストを作る。

ジャンルで分けたり、雰囲気で分けたり、シチュエーションごとに区切って、自分の好みにアレンジしていく。

ラジオを聴く。

いい曲だなと思ったら数回のタップでプレイリストに入れることができる。曲の順番を変えることだってもちろんできる。

シャッフルもリピートもワンタップでできるから、作業・勉強中、通勤中、パーティーのBGMなど、再生媒体を変えるだけで、インターネット環境さえあれば、本当にいつでもどこでも、世界最高峰のミュージシャンの最新の楽曲が楽しめるようになった。

「ディグ」の手法

音楽用語で「ディグる」という言葉がある。

英語の “dig” から来ている言葉なのだが、そのまま「掘る」という意味だ。

これは例えばCD屋さんでどんなCDがあるかを吟味したり、自分の好きなアーティストが受けてきた影響やバックボーンをもとにさらに関係するアーティストを辿っていく、という意味で使われることが多い。

例えば Wikipedia を使って特定の音楽ジャンルを検索すると、代表的なアーティストだけでなく、そのジャンルを確立するにいたったミュージシャンの存在も知ることができる。

こうやって「ディグ」っていけば、音楽の網は国境を越えてどこまでも広がっていることを知ることができる。

Apple Musicではこの「ディグ」も簡単にできる。

どの国のどれくらいの年齢層の人がどんな音楽を聴いているか、そういうデータを集めながら運用しているはずだから、トレンド やその人の嗜好の傾向を把握することなどは造作もないはず。

オススメに上がってくる音楽は高確率で自分の好みのものだし、アーティストの詳細を見ていくと似たジャンルのミュージシャンをいくらでも探すことができる。

従来の「ディグ」よりも求められるリテラシーが低いので「ルーツを探る」という観点からは最善の方法ではないかもしれないが、少なくとも自分の好みの曲を探す上でこんなに便利なツールはない。

まとめ

音楽に関しては、話し始めると本当にきりがない。

ここ何年かで音楽に向き合う姿勢も変わったし、バンドの状況も常に同じだったという期間はない。

人は変わるから、環境も変わるし、結果的にライフスタイルも変わる。

僕はできる限りでバンドは続けようと思っているし、楽曲に対するリスペクトを失わない姿勢でこれからも楽しみたいと思う。

最後に、ここ最近で個人的に一番のドツボだった曲を貼って終わりにしたい。

たまたまApple MusicのラジオであるBeats Oneを聴いている時にかかって、そのあまりの素晴らしさに、仕事の手を止めて、放心して聴き入ってしまった。

シンプルな曲構成に、無限に散りばめられた遊び心と、洗練されたテクニック、儚さすら感じるギターの繊細なメロディーで、何回でも聴いてられる。

久しぶりにこんな素晴らしい曲と出会ったなあ。

また気が向いたら音楽のことも書いていこうと思います。