英語の勉強方法について相談される際、この”シャドーイング”に取り組んでいない人が意外と多かったりします。
シャドーイングは時間対効果がとても高い、言語上達の一番の近道と言っても過言ではありません。
とは言っても
「そもそもシャドーイングって?」
「効果があるって聞いたけど、どうやったらいいの?」
「教材はどう選んだらいい?」
という疑問・悩みを持っている方も多いと思います。
そこで、この記事を読めば
「シャドーイング?何それ技の名前??」
という人が”通勤・通学中ですらシャドーイングができるようになっちゃう”ようになるまで解説していきたいと思います!
目次
シャドーイングとは
それではシャドーイングってそもそも何なのか、という話ですが、これは英文の音声のあとに、文字通り
”影のように後について発音する”
ことを指します。
ちなみに再生のあとに繰り返すことを”リピーティング”、話者と全く同じタイミングで発音するのを”オーバーラッピング”と呼びます。
得られる4つの効果
シャドーイングを継続することにより享受できる恩恵は計り知れないほど大きく、
これをやるかやらないかで総合的な英語力に大きな差が出ると言っても過言ではありません。
中でも特に大きな効果を4つ挙げてみます。
英語に慣れることができる
突然ですが、赤ちゃんがどうやって言葉を喋れるようになるか、ご存知ですか?
それは”聴覚からの大量のインプット”です。
赤ちゃんは産まれてからというもの、外部の音を耳を通して拾っています。
最初は意味を成さない”ただの音”でも、映像や文字を通して”耳で聞く音”と”その語が持つ概念”が結びつくようになるのです。
なぜ赤ちゃんの話をしたかというと、新たに言語を学習することというのは、すなわち
”その言語においては赤ちゃんと同じラインからスタートする”
こととイコールだからです。
要するに、多くの人が母国語以外の言語に慣れていないのです。
これはよく”耳が開いていない”という表現をしたりするのですが、慣れない限りは聞き取れない細かい音の違いなどがたくさんあります。
具体的に挙げるなら日本語には存在しない”R、TH、V”などの発音や、Liaison(リエゾン=語と語の音の繋がり)がそれに当たります。
発音が向上する
大量に音声を聞いて、その言語に耳を慣らし、そして発音の真似をするというのは、赤ちゃんが言語を習得するまでと同じプロセスです。
だんだん聞き分けられるようになった音の違いを、自分で表現できるようになれば、その言語のネイティブに対して話しても伝わるようになるはずです。
つまり”発音が良くなる”ということです。
リスニングも伸びる
そして興味深いことに、正しく発音できるようになると、正しく聞き分けることもできるようになります。
これは繰り返しになってしまいますが
きちんと発音の違いを自分で表現できる = 音の違いを聞き分けられている
という関係性が成り立つからです。
実際に、自分がシャドーイングで習得した”語の連なりのパターン”を、別の状況で聞いた際にスッと頭に入ってくることがあります。
単純に、この数が増えれば、一発で聞き取れる音の幅が広くなることになります。
ボキャブラリーの補強になる
自分がシャドーイングとして使用する教材に、知らない語があるなら、それは新たに覚える絶好のチャンスです。
あまりに知らない言葉が多すぎても、理解に苦しみ、モチベーションの低下になってしまっては本末転倒なのですが、程よく難しい文章を選び定期的に交換していくことで、効率的に語彙力を強化することも可能です。
取り組み方
教材選びのコツ
最初に一番大事なことを。
シャドーイング専用の教材は必要ありません。
世の中にはそういう書籍もありますが、シャドーイングというのは、その教材に音声データが付いていればどんなものを使用してもいいのです。
ですから、今取り組んでいる単語帳に英語の音声があるのなら、その真似をして発音をすればいいのです。
とは言っても、いきなり長い文章や、ネイティブが普段のスピードで話す文章を使ってもハードルが高くなってしまいます。
個人的におすすめなのは下記の順番で行うことです。
①単語帳の音声
→例文が比較的短く、意味の把握がしやすく、暗記もしやすい
②総合学習教材の音声
→例えばTOEICの参考書などではほどよい長さの文章に加え、その音声も収録されている
③TED、映画・ドラマ
→実際的なレベルになるのでハードルは一気に上がるが、マスターすれば再現性が一番高い
意味を把握→スラッシュを引く→発音記号の記入
教材の作り込み方にも工夫が必要です。
いきなりシャドーイングを始めても付いていくだけで精一杯になってしまいますし、正しい発音を真似できていなくては意味がありません。
音声を聞きながら、音が区切れるところに”/”を入れたり、初めて見る語や読み方が分からない、または苦手な音の単語が出てきたらIPA(国際発音記号)を記入するクセをつけましょう。
この部分も最初は時間がかかってしまいがちですが、慣れれば難しい文書でも20~30分で時間もせずにシャドーイングの準備ができるようになります。
この部分に関してはリーディング教材の効率的な取り組み方を紹介した記事(https://rui-blog.net/archives/824)でも紹介しましたので、よければ参考にしてみてください。
音声の後についていく
ここまで準備ができたらいよいよシャドーイング開始!
と言ってもあまり力みすぎず、自然な感じで何度もこなすことが重要です。
初めから上手にできる人なんていません。
最初は本当に、自分でもがっかりするくらい舌がもつれたり、突っ掛かったりします。
でもこれは考えてみれば当たり前のことです。
発音はおろか文字すら違う言語を、ネイティブと同じスピードで真似しようとしているのだから、できなくて当たり前です。
だから最初はスピードに付いていく、分からないものは発音せず
「とにかく遅れずに付いていくぞ!」
という気持ちが大事です。
回数をこなせば、必ず上達します。
一回スムーズにできるようになると、そこからはかなり楽しくなりますよ。
自分の発音を録音する
スピードにも慣れ、発音も問題なくできるようになってきたら、自分の声を録音してみましょう。
これは自分のリーディングを録音するのではなく、シャドーイングをしている時の音声を録音します。
自分の音声だけを録音したいので、シャドーイングの音声はイヤホンで聞き、机の上に録音できるスマホなどのデバイスを準備して、自分の発音を録ります。
そしたらあとは自分の発音とネイティブの発音を照らし合わせ、差を埋めていけば、発音は必ず良くなります。
外でやる時は声を出さなくてもOK
そしてこのシャドーイング、実は
外出時でもできちゃいます!
「でも歩きながらブツブツしてたら変態と思われそう・・・」
と思うかもしれませんが、他人からは分からない程度に舌を動かすだけでも十分に効果が期待できます。
これは英語を喋る時に良く使う口の筋肉が鍛えられるからです。
実は英語という言語は中国語などの言語に比べ、口を大きく動かす言語ではないのです。
声を出さずにもごもご動かして練習するだけでもOKですし、心配ならマスクを着用するのも手です。
まとめ
シャドーイングという学習方法は実は”マネ”という、上達への一番の近道である方法を利用した最強の学習方法なのです。
その言語に慣れるだけでなく、リスニングや、発音、語彙力までも強化することができます。
英会話教室ではマンツーマンレッスンの中で先生が読み上げるものをそっくりマネする”カランメソッド”という訓練法がありますが、僕個人の意見としては、このシャドーイングを毎日やれば初期費用以外のコストはゼロで同じ効果を得ることができます。
(確かに発音をトレーナーに矯正してもらう機会は他に必要ですが・・・)
しかもここまで効果が高い上に、音声素材があればできてしまう = 外出中でもOKです。
忙しい日々の中、通勤・通学の時間や、家事の合間に、イヤホンから流れる英文を真似するだけで英語力が大きく伸びるのなら・・・やらない手はありません。
具体的な取り組み方がわからない、発音の向上の実感がない等の悩み・質問があれば、いつでも気軽にお問い合わせください。
Twitterからでもコンタクト取れます(^^)
それでは!