動画編集スキルと効果・コンバージョン率(成約率)は全く比例しない例もある【実証データ有】

みなさんは動画編集というスキルがどのような効果を持っていると考えますか?

動画編集ソフトPremiereを勉強すればするほど思います。

編集作業ははただの手段に過ぎない

今回は動画編集の、特に初学者が陥りがちな「技術を極めれば効果も高まる」ということについて話していこうと思います。

結論:“スキル = 効果” は間違い

凝ればいいわけじゃない

まず、結論を先に触れておきますが、

スキルと動画編集の効果(広告ならコンバージョン率=成約率 / YouTuber系なら視聴回数、視聴維持率など)は結びつかないことも多々あります。

どういうことかというと

「凝れば凝るほど動画のクオリティは上がる」

という考えは間違いだということです。

料理の例

料理に置き換えて考えてみます。

料理の本質的な目的はなんだと思いますか?

状況やターゲットによって変わってくる部分はもちろんありますが

「素材を組み合わせてひとつの成果物を組み立てる」

という工程になるはずです。

そこまでたどり着くプロセスに、いろいろな要素があるわけです。

「美味しい料理を作ること」が目的ではありますが、これでは漠然としすぎています。

もう少し噛み砕くと「美味しくするためにどの手順を踏めばいいかを考える」となります。

料理のスタイルを決めて、下ごしらえ(無駄のカット)、素材の組み合わせ、切り方、加熱方法、火の通し加減、味付けの方法・程度…

膨大な可能性のひとつの結果が、口に運ばれて初めて ”料理” というプロセスを終えた、という結果になるわけです。

動画編集スキルの必要性

料理と全く同じで、編集という行為は手段に過ぎません。目的ではないのです。

人前に出して、その効果を測定して、初めて編集の意義が生まれます。

現に著名な芸能人のYouTubeで無編集の動画も多く見受けられますが、再生数は何十万という規模です。

これはどういうことかというと

すでにコンテンツとして成立している状態

なのです。

編集を外注する費用、編集に要する時間、報酬の管理、人員のマネジメント、情報漏洩のリスク

などなど、編集を外注するとなるとそれだけで負担にことが多分にしてあります。

早い話が、面倒臭いのです。

この構図を知った上で「それでも僕に編集させてください」というのですから、

”編集しないメリット”

“編集してもらうメリット”

を天秤にかけて恩恵を確実に享受できる根拠がないと、そもそもの必要性が発生しないというのも事実です。

動画編集の目的

では、動画編集スキルに求められているものは何だと思いますか?

これは動画の趣向やジャンルによっても変わりますが、ひとつかならず共通しているものがあります。

それは「情報を視覚化して伝える」ということ。

なぜ、静止画でないといけないのか?なぜテキストや音声だけではいけないのか?

その理由を根詰めて考えていくことで正解は見えてきます。

やりがちな失敗例

ここまで踏まえて良質な編集とは何かを考えてみると、

不必要なアニメーションやトランジションの技術は “本質にそぐわない” 編集であり、上記した「押さえないといけないポイント」ではありません。

これが多くの初学者の陥りがちなポイントです。

ポートフォリオを見てみても、ゴテゴテしているアニメーションや色使いが多く、はっきり言って目が疲れます。

「技術を集約したポートフォリオなんだから技術を盛り込んで何がいけないんだ」

という声が飛んできそうですが、

その技術、本当に編集中に使いますか?

もし僕が編集者を探していて、募集をかけて、送られてきたポートフォリオをチェックするとしたら

  • 動画は綺麗にまとめられているか
  • 統一感はあるか
  • テンポ感はいいか
  • 言いたいことは何か
  • 言いたいことを表現するために最適化された編集ができているか

特に最後のひとつに注目します。

クライアントの先のエンドユーザーを考える

YouTube系の動画編集で一番必要なスキルは

一番伝えたたいメッセージは何か?そのメッセージは10分ある動画のどこにあり、どういう編集を施すとその動画素材が一番に活きるか?

ということを俯瞰して考え、無編集では出てきにくいメッセージ性を最大化することです。

なぜその編集をする必要があるのか。

これはクライアントのためではありません。

クライアントがその動画編集を求めていることは間違いありませんが、クライアントは誰のために発信をしているのでしょうか?

エンドユーザー、つまり末端の視聴者です。

クライアントだけが満足して、その人の自己満足で発信しても、チャンネル登録者数は増えないし、視聴維持率は保てません。

ここまでは動画編集者は干渉できませんし、特に最初の方は信頼関係がきちんと構築できるまでは、とやかく言えない場合が多いと思います。

それでも、編集者は常に「最終的な編集の目的は何か」を考えながら作業に向かう必要があり、目的意識を失くした瞬間に、間延びした退屈な動画になってしまいます。

まとめ

編集技術が高ければ動画のクオリティが上がるわけではなく、むしろ不必要な表現は

費やした時間に対して効果が得られない = 時間の浪費

になってしまう可能性を孕んでいる、という部分は注意しましょう。

試しに、チャンネル登録者集トップクラスのチャンネルをみて研究してみてください。

手が込んでいるものはあるかもしれませんが、尋常ならざる技術を使い込んで唯一無二のクオリティを維持し続けているものはほぼないはずです。

こういった視点を持って、他の人の編集を見てみてください。

きっと新しい発見があるはずです。

それでは!