中国と台湾の中国語ってどういう風に違うの?【違いは小さいです】

筆者は今、台湾は台北で生活し、まもなく10ヶ月が経過するというところです。

当初僕は「中国と台湾って中国語全然違うのかな?もしそうならどっちもやらなきゃいけないし、面倒だな…。」と思っていましたが、心配には及びませんでした。

もし、僕のように

「台湾と中国の中国語って全然違うの?」
「ボポモフォとピンイン、どっちを勉強するべき?」
「繁体字と簡体字、どっちを覚えたらいいの?」

という疑問を持つ方がいたら、この記事を読めばクリアになるはずです。

今回は台湾での学習の成果等も織り交ぜつつ、台湾と中国の語学的な相違点について話していきます。

様々な言語がある中国

中国語を勉強していると、地域によって発音が全然違うことがあって驚きますが、これは日本の方言と同じようなものです。

もっと言えば方言というよりは”その地のネイティブな言語”で、言語体系が全く違ったりします。
同じ中国人同士でありながら言語によっては相互にコミュニケーションを取れないなんてこともあります。

そういった方言の違いで民族間で意思疎通ができないという問題を解決するべく、1950年代〜1960年代に広められたのが「普通語(プートンフア)」です。

これが日本で一般的に”中国語”と呼称されているもので、北京語と呼ぶ人もいます。

が、厳密には北京には北京の方言があるので北京語というと別の言語のことを指す、と北京出身の先生が仰っていました。

ちなみに同じ漢字圏の香港では広東語と呼ばれる言語が公用語で、これはマカオ、マレーシア、シンガポールなどの国でも話されています。

さらに台湾には”台湾語”という独自の言語があり、南に行けば行くほど話されるようになります。

”臺語“と称されるその言語はまた別の発音を持ち、台湾人でも触れたことのない人は理解できないそう。
逆に「臺語を話せるが普通語を話せない」という人はあまりいないようです。

台湾と中国の発音の違い

台湾と中国の発音の一番大きな違いはふたつあります。
舌の使い方と、声調の変化です。
それぞれ解説していきます。

舌の使い方

中国語には実は、そり音があります。日本語でいう”巻き舌”、英語でいう”R”の発音です。

ピンインで表記すると【 ch, zh, r 】がこれに該当しますが、特にchとzhにおいては台湾では舌をあまり巻かないという傾向があります。

例を挙げてみましょう。

「おいしい」を中国語で何と言うか、ご存知ですか?

「ハオチー :好吃(Hào chī)」です。

これはいわゆる”きれいな中国語”でしっかり”chi”と発音すると「ハオチー」に聞こえますが、舌を巻かずに同じように発音すると、台湾で話されているような「ハオツー」という発音になります。

同じ要領で「先生:老師(Lǎoshī)」ラオシーと聞こえる中国での発音でも、ここ台湾では「ラオスー」に聞こえるのです。

声調の変化

中国語が”声調言語”であることは、多くの人がご存知の通り。

4種類ある音のトーンを使い分けて、これらの声調を正しく発音しないと、相手に伝わりません。

この声調も中国と台湾で若干の違いがあります。

例えば、中国では「美しい」という意味を持つ形容詞「漂亮(Piào liang)」の”liang”の部分は声調記号が付いていない、軽声というもので、低く短く発音します。

では台湾ではどうかと言うと”Piào liàng”というように4声・4声(高いところから低い音程まで一気に下げる)という違いがあります。

これを僕が最初知った時は

「えー!じゃあ中国はこっち、台湾はこっちって感じで覚えなきゃいけないの!?」

と萎えましたが、全然問題ありませんでしたw

問題ない、というのは、台湾の声調で中国籍の方に話しても伝わる、ということです。

「あなた台湾にいるからやっぱり台湾の発音ね」とは言われましたが、これまでのところ、この使い分けをしなかったことにによって意味が伝わらなかったことはありません。

それか現在の僕の会話のレベルが低すぎてそこまでのレベルが求められていないのかもしれません(笑)。

ボポモフォとピンイン、どっちを勉強するべき?

ボポモフォとは

ボポモフォというのは発音記号でありながら入力記号でもあり、日本の「ひらがな」と同じように作用します。

ひらがなと一番大きな違いは”それだけでは文章に使うことができない”という部分です。

ボポモフォのキーボード

日本語のひらがなは文中で様々な品詞として活用できるのに対し、ボポモフォはほとんど文中で見かけることはありません。

「え?」みたいな感情表現のときに稀に見ることはありますが、公的な文書ではなく、あくまで口語的な使われ方をする場合に限ります。

ボポモフォを学習するメリット・デメリット

このボポモフォは発音記号として非常に優れていて、ひとつひとつのボポモフォを読みながら発音すればかなり正確に発音できます。

しかし実はこのボポモフォ、台湾内でしか通じません。

なので今後台湾で数年生活するつもりだ、または永住する可能性がある、という場合はこのボポモフォを覚えておくのがいいでしょう。

台湾で台湾人の方に文章や場所を打ってもらう機会があると思いますが、後述するピンインのキーボードを見せても彼らは表記の方法を知らないので、入力することができません。

ピンインとは

対してピンインは中国語をアルファベットで表記する方法です。

上記した好吃(Hào chī)や老師(Lǎoshī)もアルファベット部分がピンイン(中国語表記では拼音(Pīnyīn))で表記されていますね。

そして決まった母音の上に声調記号を記すのがルールとなっています。

ピンインを学習するメリット・デメリット

最大のメリットは「アルファベットなので読み方のイメージが容易」という点。
外国人にも親しみやすく、発音の法則とパターンさえ習得してしまえば難しいものではありません。

ピンインのキーボード

対してデメリットは、台湾では使えないこと。これはちょっと面倒です。

例えば友達と会話していて、知らない単語が出てきた場合。
「それどういう意味?」と質問をして、字を見せてくれますが、ピンインでないので、入力の方法がありません。音から推測するのは、特に学習初期だと至難。

こういった手書きのキーボードを利用する手段もありますが、時間がかかるし、正確に入力しないといけないのは若干面倒です。

手書きのキーボード

僕は一応全てのキーボードをスマホにいれていました。少しかさばるもののこれが安定です。

繁体字と簡体字、どっちを覚えるべきか

これはシンプルに「どっちも覚えた方がいい」がベストです。

いくら「台湾にしかいるつもりはない、中国から出ないつもりだ」と言っても、転勤や配偶者の関係などの環境の変化はいつ起こってもおかしくありません。

そうなってゼロから始めるよりも、一緒に覚えていく方が効率的ですし、そうしておくと旅行の際も困ることはありません。

加えて、これらの相互変換に関しては習得に膨大な時間が必要かというと、決してそんなことはありません。
というのはある種のパターンがあるからです。

例を挙げると

日本語の「車」という字は簡体字では「车」です。
漢字の中に「車」と言う字が含まれているものは全てこの字になるのです。

もうひとつの例は「専門」の「専」にしましょう。これは簡体字では「专」と書きます。

それではこの二つがくっついた「轉」という字はどうでしょうか。
どちらも簡体字となり「转」というひとつの字になります。

こういう風に変化の際は一定のパターンがあるので、これは並行して学習していくうちに自然に覚えます。

少しくらい抜けていても、前後の文脈から推測できることがほとんどなので、理解に困るようなことはほぼないかと思います。

まとめ

さまざまな違いのある”中国で使われている中国語”と”台湾で使われている中国語”ですが、あくまで同じ言語なので、あまり構えず取り組んでも問題ありません。

個人的には、ですが、そり音(巻き舌)の発音が弱い台湾よりも、はっきりと発音して聞き分けることのできる中国語の方が聞き取りやすいように感じます。

ですが発音の難易度はこちらの方が高いので、もっと練習が必要です。

どちらも攻略するためには、オンライン中国語会話などを利用し、違う出身の先生の授業を取るとそれぞれの発音の傾向をつかむことができ、効果的です。
ぜひ試してみてください。

それでは!

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