突然ですが皆さんはコミュニケーションコストという言葉に馴染みがありますか?
もしなかったとしても理屈は非常にシンプルで
「あらゆるコミュニケーションにはコストがかかっている」
という考え方です。
僕は今現在、世間でフリーランスやノマドと呼称される働き方をしていますが、自分のコミュニケーションに際する効率を考えなければ、ただいたずらに時間を消費してしまい、その悪循環は自分の売り上げ、つまり生活の質に直結するので常に念頭に置いています。
今回は、フリーランスだけでなく、あらゆる仕事をする人に必要なこの”コミュニケーションコスト”という概念について書いていこうと思います。
目次
コミュニケーションコストとは
コストという言葉を聞くと、どうしても金銭に考えが直結しがちですが、コミュニケーションコストというのはその言葉どおり
「コミュニケーションをする上で必要なコスト」
という考え方です。
簡単な例を出してみると、仕事のできない上司が部下に雑な指示を出した場合、部下はどこをどうしたらいいかわからないので、上司に逐一確認しなければなりません。
この場合、勝手がわからず毎回聞くことしかできない部下だけではなく、最初に分かりづらい指示を出した上司の時間も奪われていきます。
上司も部下も給料もらって働いているはずなので、仕事中のコミュニケーションひとつとっても金銭が発生しているということになります。まさにタムイズマネー。
この上司のように「 仕事をする上でのやり取りは全てお金が動いている」という認識がないと「相手が自分に何を聞かなくても仕事をこなせるように的確な指示を出そう」という方向へ認識が向きません。
「仕事は見て盗め」
こういう、使い古された”旧世代の美徳”のような考え方がありますが、
まさにこれが悪い例の象徴です。
技術やノウハウを持っている人が持っていない人に対して、 実際に見せながら説明すればいいだけです。その方が圧倒的に早く教授でき、コストは下がります。
コストを下げて効率化する方法
では具体的にコミュニケーションコストを下げる方法を紹介していきます。
なお筆者は一応、以前少し大きめの会社で勤務していたころ、年間で億単位のプロジェクトを2件新規で立ち上げた際のプロジェクトリーダーとして、多い時は30名近くの現場管理責任者(要するにマネージャー)を担当していたので、説得力が全くないということはないはずです。
まず第一に:最初が一番時間がかかることを認識する
とにかく最初が一番時間がかかります。
なぜなら仕事のノウハウはおろか、人としてのコミュニケーションすら築けていない状態で、スムーズなやり取りなんてできないからです。
特に、新しいプロジェクトを始めたばかりの頃はいかにしてPDCAのサイクルを高速で回すかが肝になるので、手法が確立されてマニュアル化し普及させるまでにとても時間がかかります。
要するに何が言いたいかと言うと「一番最初から最短効率は難しい」ということ。
期待しすぎたり「できないのは私が無能だからじゃないのか…」とか考えるのは、 精神衛生上も良くないのでやめましょう。
指示出しをする時に相手の疑問点を先に明記しておく
先ほどの悪い上司の例に関してですが、 指示出しをする時点で「相手が聞いてきそうなこと」 を想定して先に明らかにしておくことで
”質問されてそれに返さなければいけない時間”
というコストの削減につながります。
報告は聞かれる前にする
上司に「あれ、そういえば〇〇ってどうなってるの?」と言われたら「あ、やってしまった…」と思った方がいいです。
なぜなら相手に聞かせてしまっている時点で、ひとつ相手からのコストを生んでしまっているからです。
進捗報告をすることはとても重要で、一つの小さな作業が終わったら随時確認するようにしましょう。
チェックする側は作業工程自体が小さいので時間も手間もかかりませんし、 逆にこれを怠って成果物が当初求めていたものと全く違うものになってしまうとなると、その修正にかかる時間の方がもったいないです。
「これこんな感じで大丈夫ですか?」
と聞くだけで OK です。
いちいちそんなこと聞くな、とか言ってくる無能な上司がいたら、 その更に上の上司に直談判するか、そんな会社もう辞めちゃいましょうw
電話はするな
僕、何の連絡もなしにいきなり電話してくるやつ
大嫌いです。
まず、よほどのことでない限り”電話でなければいけないメリット”ってありませんし、仮にあったとしても「〇〇を確認したいので△△時にお電話差し上げてもいいでしょうか」 くらい聞くのは当然のビジネスマナーだと思います。
なぜ電話が嫌いなのか。
それはシンプルに「自分の都合で相手の時間を奪う」からです。
最近では”ゾーン”と表現されたりもしますが、誰でも集中できる時間帯やポイントがあります。
そういう個人の生産性を無視して、自分が聞きたいことや確認したいことを事前通告なく一方的に聞くというのは、相手の都合を考えていないということと同義です。
しかも電話はメールやチャットと違って録音しない限り記録が残らないので「言った・言わない問題」の原因にもなります。
よほど緊急の連絡や、文字で確認するには時間がかかりすぎる場合を除いて、 電話をなるべく避けましょう。
複数の選択肢を最初から提示しておく
自分から指示を出したり、相手の支持に沿って作業をするときなどに有効な手段として”複数の選択肢を提示する” という方法があります。
「これ A と B どっちにしようかな」
と悩むことは誰でもあると思いますが、両方もしくは複数を作成する際に多大な時間がかからない限りはどちらも作成し
「このどれがいいですかね」
という方が、相手は再度指示をしなくて済む可能性もあるし、求めているクオリティにより早く到達することができます。
回答する際は他の可能性にも言及する
これはトラブルシューティングの問い合わせなどで特に効果を実感するのですが、問題に対して解決策である候補をいくつも提示することで、どれかが有効でなかった場合も他の選択肢に取り組むことができます。
「Aがダメでした」
「じゃあBはどうですか?」
「Bこれからやってみます」
こんなやり取りをするよりも
「これを解決するにはA, B, Cといった選択肢があり、それぞれ…」
という風に回答した方が相手もいちいち聞かずに済むし、こちらも都度対応せずに済みます。
トラブルを対処し終わったら全員と共有する
一つのトラブルを解決したら、
- そのトラブルが発生した原因
- 解決するために行なったこと
- 派生して考えられる問題点
これらは洗い出し、組織内で共有することによって、 同じ問題や似たような問題が出てきた時に、 この時のデータを参照して対処することができます。
これはちょうど、弁護士が依頼を受けた時に”過去にあった状況の近い事案”を参照しながら対策を立てることに似ています。
質問された時に返すのは”答え”ではなく”解き方”
質問された時に「これが答えだよ」という風に回答してしまっていませんか?
これをしてしまうと、相手の中で
「この人に聞けば問題を解決してくれる」
という思考が形成されてしまい、何かあった時になんでもすぐ教えてくれ!な通称”クレクレ君” になってしまうし、自分も ”歩くGoogle化” してしまいます。
直に相手の役に立っているという達成感はその場合られるかもしれませんが、長期的に考えると、 これはあまり良い問題解決法とは言えないでしょう。
何かを聞かれた時に返すべきは回答ではなく”その問題を解決するときの考え方”です。
自分で考えてもらい、自身で問題を解決できるようになってもらうのが、双方にとって一番です。
まとめ
仕事ができる人は、相手の立場に立って考えることのできる人です。
「これをこうしたら、相手はどうするだろう?」
常にこう考えることが、相手のコストを削減し、結果的に自分のコストを下げることにも繋がります。
みんな平等の持っているからこそ、その使い方を考えるのが、効率を極める第一歩です。
ぜひ実践してみてくださいね。
それでは!